キャンプ料理の定番といえば、じゃがいもを使ったホイル焼きやじゃがバターですよね。
でも、当日に丸ごと調理を始めると、なかなか火が通らず生焼けになったり、逆に焦がしてしまったりと失敗しがちです。
その悩み、実は「キャンプのじゃがいも下ごしらえ」を前日に済ませるだけで、すべて解決できますよ。
この記事では、最も簡単な時短テクニックである電子レンジを使った加熱方法から、しっとり仕上がる茹でる方法、切った後の変色防止のコツ、そしてキャンプ場までの安全な保存方法まで、詳しく解説します。
この一手間で、当日は簡単なレシピで、ホクホクのじゃがいも料理を確実に楽しみましょう。
- キャンプ当日の時短と失敗(生焼け)を防ぐ鍵は前日の下ごしらえにあること
- 最も簡単な時短方法は電子レンジ(レンジ)加熱であること
- 下ごしらえで最も重要な安全対策(芽や緑の皮の除去)
- カット後の変色防止策とキャンプ場までの安全な保存方法
キャンプのじゃがいも下ごしらえ完全ガイド
- なぜキャンプに下ごしらえが必要?
- 下ごしらえの最重要注意点
- 時短できるレンジでの加熱方法
- しっとり仕上がる茹でる方法
- 下ごしらえ後の変色防止テクニック
- 前日準備の正しい保存方法
なぜキャンプに下ごしらえが必要?
キャンプでじゃがいも料理を確実に成功させる鍵は、実は「下ごしらえ」にあります。
キャンプ当日は、テントの設営や火起こし、他の料理の準備などで想像以上に忙しいものです。
そんな中で、火が通りにくいじゃがいもを生の状態から調理を始めると、いくつもの問題に直面します。
例えば、ホイル焼きにしたけれど、外は真っ黒なのに中はまだ硬くて生焼けだったり、逆に火が通るまで待ちすぎて黒焦げになってしまったりという経験はありませんか。
じゃがいもは中心部まで熱が伝わるのに時間がかかるため、特に焚き火や炭火のような火加減が不安定な環境では、調理が非常に難しい食材なのです。
そこで前日に家で下ごしらえを済ませておくことを強く推奨します。
あらかじめじゃがいもに火を通しておくことで、キャンプ現地での調理は「温めるだけ」「焼き目をつけるだけ」になり、調理時間が劇的に短縮されます。
これにより、「生焼け」や「黒焦げ」といった失敗を確実に防ぐことができます。
さらに、じゃがいもの皮や芽といった生ゴミをすべて自宅で処理できるため、キャンプ場の炊事場を汚さず、ゴミを減らせるという衛生面・環境面でのメリットも大きいです。
このように、キャンプにおけるじゃがいもの下ごしらえは、「調理の時短」と「失敗の防止」、そして「ゴミの削減」という、3つの大きな利点をもたらしてくれます。
下ごしらえの最重要注意点
じゃがいもの下ごしらえを行う上で、調理の手間や味付けよりも優先すべき、最も重要な注意点があります。
それは「安全性の確保」です。
じゃがいもは、その保存状態によって食中毒を引き起こす可能性のある天然毒素を生成することがあります。
特にキャンプのような屋外環境では、体調不良は絶対に避けたい事態でしょう。
万が一の事態を防ぐため、下ごしらえの段階で、じゃがいもの危険なサインを見逃さず、適切に処理することが求められます。
調理を始める前に、必ずじゃがいもの状態を一つひとつチェックする習慣をつけましょう。
芽や緑の皮は確実に取り除く
安全にじゃがいもを食べるために、毒素を含む部分の処理は徹底してください。
農林水産省の発表でも広く注意喚起されていますが、じゃがいもの「芽」や、光が当たって「緑色になった皮」には、「ソラニン」や「チャコニン」と呼ばれる天然毒素が多く含まれている場合があります。
これらの毒素は加熱しても分解されにくく、摂取してしまうと、吐き気、嘔吐(おうと)、腹痛、下痢、頭痛、めまいといった食中毒の症状を引き起こす可能性があります。
下ごしらえの際は、まずじゃがいもをよく見て、芽が出ていないか確認しましょう。
芽が出ている場合は、その芽だけを摘むのではなく、周辺のくぼんだ部分も含めて根元からしっかりとえぐり取る必要があります。
同様に、皮が緑がかっている部分も要注意です。
緑色の部分は、ソラニンやチャコニンが蓄積しているサインですので、その部分を通常よりも厚めに、緑色が完全になくなるまで剥いてください。
特に小さなお子様やご年配の方が参加するキャンプでは、体調への影響が大きく出やすいため、この安全確認と処理だけは絶対に怠らないよう、細心の注意を払うことが大切です。
時短できるレンジでの加熱方法

キャンプの下ごしらえにおいて、最も手軽で「時短」につながる方法は、電子レンジ(レンジ)の活用です。
鍋でお湯を沸かして茹でる方法と比べ、洗い物が格段に少なく、非常に短時間でじゃがいもの中心部まで効率よく熱を通すことができます。
仕上がりも「ホクホク」とした食感になるため、じゃがバターやホイル焼きに最適です。
具体的な手順は以下の通りです。
- まず、じゃがいもを流水でよく洗い、泥や汚れを落とします。
- 前述の安全対策として、芽や緑色になっている皮の部分は、包丁やピーラーの芽取りを使って確実に取り除きます。
- 皮付きのまま、濡らしたキッチンペーパーでじゃがいもを1個ずつ丁寧に包みます。この「濡れペーパー」がスチームの役割を果たし、パサパサになるのを防ぎます。
- さらにその上から、ふんわりとラップで包みます。
- 耐熱皿にのせ、電子レンジ(600W)で加熱を開始します。
- 加熱時間の目安は、中くらいのサイズ(約150g)1個あたりで約3分から5分です。複数個(2〜3個)を同時に行う場合は、加熱ムラを防ぐために途中で位置を入れ替えつつ、合計で6分〜8分程度と長めに調整してください。
- 加熱が終わったら、竹串や箸を中心部まで刺してみて、抵抗なくスッと通るかどうかを確認します。
- もし硬い部分が残っているようであれば、30秒ずつ追加で加熱し、再度確認します。
この方法であれば、忙しいキャンプ前日の夜でも、他の準備をしながら手軽に下ごしらえを完了させることができます。
キャンプ当日の調理時間を劇的に短縮できる、最もおすすめな方法といえます。
しっとり仕上がる茹でる方法
キャンプでカレーやシチュー、ポトフといった煮込み料理を計画している場合には、「茹でる」下ごしらえが適しています。
電子レンジでの加熱が「ホクホク」とした粉質の仕上がりになるのに対し、茹でる方法はじゃがいもに水分を含ませながら火を通すため、「しっとり」とした粘質の仕上がりになります。
この方法で下ごしらえしたじゃがいもは煮崩れしにくくなるため、煮込み料理に最適です。
茹でる方法は、丸ごと茹でるか、カットしてから茹でるかで手順が少し異なります。
1. 皮付きのまま丸ごと茹でる場合
この方法は、じゃがいもの風味が逃げにくく、最も美味しく仕上がるといわれています。
- じゃがいもを洗い、芽や緑の皮の処理をします。
- 鍋にじゃがいもと、それが完全にかぶるくらいたっぷりの水を入れます。
- この時、必ず「水から」火にかけるのがポイントです。沸騰したお湯に入れると、表面と中心部の温度差で火の通りが均一になりません。
- 強火にかけ、沸騰したら火を弱め、じゃがいもが静かに揺れるくらいの火加減(弱中火)で約20分から30分茹で続けます。
- 竹串がスッと通れば茹で上がりです。ザルにあげて粗熱を取ります。
2. カットしてから茹でる場合
カレー用など、あらかじめ特定の大きさに切りたい場合はこちらが便利です。
- じゃがいもを洗い、芽や皮の処理をしてから、お好みの大きさにカットします。
- 変色防止のため、次のセクションで解説する「水にさらす」処理を5分ほど行います。
- 鍋にじゃがいもと水を入れ、同様に「水から」火にかけます。
- 沸騰してからの茹で時間は、カットの大きさにもよりますが約10分から15分が目安です。
- 竹串が通れば完成です。
茹でる方法はレンジに比べて手間と時間はかかりますが、料理の目的に合わせて使い分けることで、キャンプ飯のクオリティを格段に上げることができますよ。
下ごしらえ後の変色防止テクニック
じゃがいもは、皮をむいたりカットしたりすると、断面が空気に触れてすぐに茶色く変色してしまいます。
これは、じゃがいもに含まれている「チロシナーゼ」という酸化酵素が、空気中の酸素に反応して起こる現象です。
せっかく下ごしらえをしても、キャンプ場で取り出したときに色が変わっていると、少し残念な気持ちになりますよね。
この変色防止には、酵素の働きを抑える簡単なテクニックが非常に有効です。
最も一般的な方法は、カットしたじゃがいもをすぐに「水にさらす」ことです。
ボウルに冷水を張り、カットしたじゃがいもを入れ、5分から10分程度浸します。
これにより、表面のデンプンが洗い流されると同時に、酸素との接触を遮断し、酵素の働きを一時的に止めることができます。
ただし、長時間さらしすぎると、ビタミンCなどの水溶性の栄養素が逃げ出してしまうため、時間は守りましょう。
さらに強力な変色防止策として、「酢水」や「塩水」にさらす方法があります。
これは、キッコーマンなどの食品メーカーも推奨するテクニックで、水500ml(約カップ2.5杯)に対し、食酢または塩を小さじ1杯程度溶かした液体を使います。
酢や塩には、酸化酵素の働きそのものを鈍くさせる効果があります。
この液体にカットしたじゃがいもを5分ほど浸すだけで、ただの水にさらすよりも強く変色を防ぐことができます。
特に酢水は効果が高いとされています。
下ごしらえの一環としてこのひと手間を加えるだけで、キャンプ場でも綺麗な状態のじゃがいもを使うことができます。
前日準備の正しい保存方法

前日に下ごしらえを完了させたじゃがいもは、キャンプ場へ運ぶまでの「保存方法」が非常に大切です。
特に加熱済みの野菜やカットした野菜は、生の丸ごと状態よりも傷みやすく、雑菌が繁殖しやすい状態にあります。
キャンプでの食中毒を防ぎ、安全に美味しく食べるために、適切な保存と運搬のルールを守ってください。
重要なポイントは以下の3点です。
1. 水気を徹底的に拭き取る
これが安全な保存において最も重要な工程です。
レンジ加熱や茹でた後の粗熱が取れたじゃがいも、または変色防止で水にさらしたカットじゃがいもは、キッチンペーパーで表面の水分を完全に拭き取ってください。
水分が残っていると、そこから雑菌が一気に繁殖する原因となります。
2. 密閉して空気を遮断する
水気を完璧に拭き取ったじゃがいもは、ジップロックのような密閉できる保存袋や、清潔なタッパーに入れます。
袋の場合は、できるだけ中の空気を抜いてからチャックを閉めてください。
空気に触れさせないことで、さらなる酸化(変色)や乾燥を防ぎ、鮮度を保ちます。
3. 低温(冷蔵・保冷)を維持する
密閉したら、すぐに冷蔵庫のチルド室など、低温の場所で保存します。
そしてキャンプ当日の朝、出発する直前に、保冷剤をしっかり入れたクーラーボックスに移してください。
カゴメのような食品メーカーの情報でも、カット野菜の安全な温度管理として5℃以下での保存が推奨されています。
クーラーボックス内でも、保冷剤の近くや底の冷気が溜まる場所に置くと安心です。
この「水分除去」「密閉」「低温維持」の3点を徹底することで、下ごしらえしたじゃがいもの鮮度と安全性を保ったまま、キャンプ場まで運ぶことができます。
キャンプのじゃがいも下ごしらえを活かすレシピ集

- 定番じゃがバターの簡単レシピ
- 失敗しない丸ごとホイル焼きの包み方
- その他のおすすめ簡単レシピ3選
- 料理別おすすめのじゃがいも品種
- キャンプのじゃがいも下ごしらえまとめ
定番じゃがバターの簡単レシピ
下ごしらえ済みのじゃがいもがあれば、キャンプの王様メニューである「じゃがバター」が、驚くほど簡単かつ失敗なく作れます。
最大のメリットは、すでに中心まで完全に火が通っていることです。
現地では、じゃがいもをじっくり加熱する作業は不要で、バターを溶かし、香ばしい焼き目をつけながら温めるだけで完成します。
焚き火やバーベキューコンロを使った、レシピ 簡単な手順を紹介します。
- 前日に下ごしらえ(レンジ加熱または茹で)したじゃがいもを用意します。丸ごとの場合は、あらかじめ十字に深めの切り込みを入れておくと、味が染み込みやすくなります。
- アルミホイルを広げ、じゃがいもを中央に乗せます。
- 十字の切り込み部分を少し開き、そこにお好みの量のバター(1かけら約10g程度)を挟み込みます。
- じゃがいもをアルミホイルでぴったりと包みます。
- バーベキューコンロの網の上や、焚き火の周りの熱い灰(熾火)の上に置きます。
- 時々トングで転がしながら、全体が熱々になるまで温めます。下ごしらえ済みなので、目安は10分から15分程度で十分です。
- ホイルが熱くなっているので軍手やトングを使って取り出し、注意して開きます。
- 仕上げに、塩、こしょうを振りかけたり、お好みで醤油を数滴垂らしたりして完成です。
下ごしらえという一手間のおかげで、「中はまだ冷たい」「火が通っていなかった」というキャンプあるあるの失敗がなく、誰もがホクホクのじゃがバターを確実に楽しむことができます。
失敗しない丸ごとホイル焼きの包み方

キャンプの醍醐味(だいごみ)といえば、焚き火の中に食材を放り込む豪快な料理ではないでしょうか。
じゃがいもの「丸ごとホイル焼き」も、下ごしらえさえあれば失敗知らずです。
生の状態から丸ごとホイル焼きに挑戦すると、火が通るまでに1時間近くかかり、火加減も難しく、気づけば外側だけが焦げて石のようになってしまうこともあります。
しかし、加熱済みのじゃがいもを使えば、温めるだけで中までホクホクの状態が再現できます。
ここでの成功のコツは、じゃがいもの「包み方」にあります。
- 下ごしらえ(レンジまたは茹で)を済ませた、丸ごとのじゃがいもを用意します。
- 大きめにカットしたアルミホイルの中央に、じゃがいもを置きます。
- (オプション)この時、バターやオリーブオイルを少量かけたり、塩こしょう、ハーブソルトなどを一緒に振りかけておくと、風味が格段にアップします。
- 【包み方のコツ】
まず、アルミホイルの手前と奥(または左右)を持ち上げ、じゃがいもの真上でぴったりと合わせます。
合わせたフチを、中の蒸気が絶対に漏れないように、2〜3回しっかりと折り込みます。
次に、残った両サイド(上下)の部分も、キャンディの包み紙のようにねじるのではなく、同様にきっちりと内側に折りたたみ、完全に密閉します。
じゃがいも自身の水分やバターの蒸気をホイル内に閉じ込め、蒸し焼き状態にすることがポイントです。 - 焚き火の中に投入します。ただし、炎が激しく上がっている場所(直火)ではなく、薪が燃えて炭のようになった「熾火(おきび)」のエリアが最適です。
- 時々トングで位置を変えたり転がしたりしながら、15分から20分ほど全体をじっくりと温めます。
データベースの情報では、生のじゃがいもを濡れた新聞紙で包んでからアルミホイルで巻く方法も紹介されていますが、これは蒸し焼き効果を高めるためです。
僕たちが推奨する「下ごしらえ済み」のじゃがいもであれば、すでに水分と熱が通っているため、アルミホイルのみで十分美味しく仕上がりますよ。
その他のおすすめ簡単レシピ3選
じゃがバターや丸ごとホイル焼きは、じゃがいもそのものの味を楽しむシンプルな料理です。
下ごしらえ済みのじゃがいもは、もちろん他の食材と組み合わせるアレンジ料理にも大活躍します。
すでに火が通っているため、他の食材と火が通るタイミングを気にする必要がありません。
「炒めるだけ」「和えるだけ」で、あっという間にキャンプの食卓を彩る一品が完成します。
ここでは、特に簡単で人気のある3つのアレンジレシピを紹介します。
ガーリックポテト
ビールやハイボールのおつまみに最高の一品、ガーリックポテトもスキレット一つで簡単に作れます。
下ごしらえの段階で、じゃがいもを一口大の乱切りや、くし形にカットしておくと便利です。
キャンプ場では、スキレット(またはフライパン)にオリーブオイルを多めに熱し、刻んだニンニク(もちろんチューブタイプでOK)を入れて香りを立たせます。
そこへ下ごしらえ済みのじゃがいもを投入します。
目的は加熱ではなく「焼き目をつける」ことなので、強めの中火で時々転がしながら、表面がカリッと香ばしくなるまで炒め焼きにします。
最後に塩こしょう、またはクレイジーソルトや黒瀬のスパイスなどを振りかけて全体を混ぜ合わせれば完成です。
ベーコンチーズポテト
これは、お子様から大人まで、誰もが喜ぶ鉄板の組み合わせです。
一口大、またはくし切りに下ごしらえしたじゃがいもと、適当な大きさにカットしたベーコン(またはウインナー)をアルミホイルで作ったお皿(またはスキレット)に入れます。
軽く塩こしょうで下味をつけ、その上からとろけるチーズを好きなだけたっぷりとかけます。
アルミホイルの場合は上部の口を閉じ、バーベキューコンロの網の上や焚き火の端に置きます。
チーズがとろりと溶け、ベーコンに火が通れば(約10分程度)出来上がりです。
下ごしらえ済みなので、じゃがいもに火が通るか心配する必要が一切ありません。
煮込み料理の具材として
前述の通り、カレーやシチュー、ポトフといった煮込み料理にも最適です。
特に「茹でる」方法で下ごしらえをした、煮崩れしにくいじゃがいもが本領を発揮します。
キャンプでの煮込み料理は、他の具材(肉や玉ねぎ、人参)に火が通るまで時間がかかります。
生のじゃがいもを最初から一緒に入れると、他の具材が煮える頃にはじゃがいもが溶けて形がなくなってしまうことがあります。
下ごしらえ済みのじゃがいもは、他の具材がすべて柔らかくなった後の、仕上げの段階で投入します。
最後の10分ほど一緒に煮込むだけで、煮崩れを防ぎつつ、じゃがいもの中までしっかりとスープの味を染み込ませることができます。
料理別おすすめのじゃがいも品種
スーパーの店頭には、実は様々な品種のじゃがいもが並んでいます。
それぞれの品種で食感や特徴が大きく異なるため、作りたいキャンプ料理に合わせて品種を選ぶと、いつものキャンプ飯がさらに一段階美味しくなりますよ。
じゃがいもは、大きく分けて「粉質(ホクホク系)」と「粘質(しっとり系)」の2タイプがあります。
ホクホク系「男爵いも」
「男爵いも」は、日本で最もポピュラーな品種の一つです。
最大の魅力は、そのホクホクとした食感にあります。
加熱するとデンプン質が花開くように粉を吹いた状態になり、口当たりがとても柔らかくなります。
また、味が染み込みやすいのも特徴です。
そのため、じゃがいもそのものの食感を楽しむ「じゃがバター」や「丸ごとホイル焼き」には最適です。マッシュしてポテトサラダにするのにも向いています。
一方で、その食感ゆえに「煮崩れしやすい」という弱点もあります。
カレーやシチューなどで長時間煮込むと、形が溶けてしまいがちなので注意が必要です。
しっとり系「メークイン」
「メークイン」は、男爵いもと並んで人気の高い品種で、細長い楕円形(だえんけい)が特徴です。
男爵いもとは対照的に、なめらかでしっとりとした食感を持っています。
デンプン質が少なく粘質のため、加熱しても煮崩れしにくいという最大の強みがあります。
キャンプで作るカレーやシチュー、ポトフなど、具材の形をしっかり残したい煮込み料理には、メークインが断然おすすめです。
また、その粘質なしっとり感は、ジャーマンポテトのような炒め物にも適しています。
品種の使い分け早見表
以下の表は、代表的な品種と、それぞれが得意とするキャンプ料理をまとめたものです。
| 品種名 | 主な特徴 | おすすめのキャンプ料理 |
|---|---|---|
| 男爵いも | 粉質(ホクホク系) | じゃがバター、丸ごとホイル焼き、ポテトサラダ |
| メークイン | 粘質(しっとり系) | カレー、シチュー、ポトフ、ジャーマンポテト(炒め物) |
| キタアカリ | 粉質(ホクホク系) | じゃがバター、フライドポテト(男爵より甘みが強い) |
| インカのめざめ | 粘質(ねっとり系) | そのままホイル焼き、おやつ(栗のような濃い味と甘み) |
このように、作りたいメニューを想像しながら品種を選ぶのも、キャンプ準備の楽しみの一つですよ。
キャンプのじゃがいも下ごしらえまとめ
今回は、キャンプでの調理を劇的に楽にし、失敗をゼロにする「キャンプ じゃがいも 下ごしらえ」の具体的な方法について、詳しく解説しました。
生のままでは火が通りにくく、調理が難しいじゃがいもも、前日に家で一手間加えるだけで、キャンプ当日は「時短」と「確実な美味しさ」の両方を手に入れることができます。
最後に、安全で完璧な下ごしらえのための重要ポイントをまとめます。
- 最優先の安全対策
食中毒を防ぐため、農林水産省が注意喚起する「芽」と「緑色の皮」に含まれる毒素(ソラニンなど)は、根元から完全に除去します。 - 2つの加熱方法の選択
「時短」と「ホクホク食感」(じゃがバター等)を求めるなら「レンジ加熱」を選びます。
「しっとり食感」と「煮崩れ防止」(カレー等)を求めるなら「茹でる」方法を選びます。 - 変色防止のひと手間
カットした場合は、酸化による変色を防ぐため、「酢水」または「塩水」に5分〜10分さらします。 - 安全な保存と運搬
加熱後や水にさらした後は、「キッチンペーパーで水気を完全に拭き取る」ことが最も重要です。
その後、「ジップロックなどで密閉」し、出発直前まで「冷蔵庫」、移動中は「クーラーボックスで低温」を維持します。
これらの手順さえ守れば、キャンプ場で「生焼けかも」「焦げすぎた」と心配する必要は一切ありません。
誰でも簡単に、ホクホクで美味しいじゃがいも料理を囲むことができます。
ぜひ、次のキャンプでこの下ごしらえを実践して、余裕のある優雅なキャンプ飯タイムを楽しんでください。
キャンプでのじゃがいもに関するFAQ
ここからはキャンプのじゃがいも下ごしらえで気になることについてまとめていきます。
Q. じゃがいもは皮付きと皮むき、どちらで下ごしらえすべき?
A. キャンプ料理では「皮付き」のまま下ごしらえすることを推奨します。
皮付きの方がじゃがいもの風味が逃げにくく、ホイル焼きやじゃがバターにした際に、皮の香ばしさがプラスされて一層美味しくなります。
また、皮をむく手間が省けるだけでなく、現地での生ゴミを減らせるという大きなメリットもあります。
ただし、カレーやシチューといった煮込み料理で、どうしても皮の食感が気になるという場合は、あらかじめご自宅で皮を剥いてから加熱・保存しても全く問題ありません。
その場合も、変色防止策や水気を拭き取る保存方法は同様に行ってください。
Q. レンジ加熱の際、濡れペーパーなしでラップだけでも良い?
A. ラップだけでも加熱自体は可能ですが、「濡らしたキッチンペーパー」で包んでからラップをかける方法を強くおすすめします。
ラップだけで加熱すると、じゃがいも自身の水分が急激に蒸発してしまい、仕上がりがパサパサになってしまうことがあります。
濡らしたキッチンペーパーを一枚挟むことで、それがスチーム(蒸気)となり、じゃがいもの水分を保ちながら加熱することができます。
このひと手間で、よりホクホク、しっとりとした理想的な状態に仕上がりますよ。
Q. 下ごしらえしたじゃがいもは、冷凍保存できますか?
A. はい、冷凍保存も可能です。
ただし、茹でたり蒸したりしたじゃがいもをそのまま(カットや丸ごとの状態で)冷凍すると、解凍時に水分が抜けて食感が悪く(スカスカ、パサパサに)なりがちです。
もし冷凍保存を活用したい場合は、完全に潰して「マッシュポテト」の状態にしてから密閉袋に入れて冷凍するか、カレーやシチュー用の具材として「食感は割り切る」前提で使うのが良いでしょう。
キャンプの前日に準備して翌日か翌々日に使う程度であれば、食感を損なわない「冷蔵」での保存が最も美味しく食べられます。
Q. 新じゃがいもも下ごしらえは必要ですか?
A. 「新じゃが」は、通常のじゃがいもと比べて皮が非常に薄く、水分を多く含んでいるため、比較的火が通りやすいのが特徴です。
そのため、ピンポン玉くらいの小ぶりなものであれば、下ごしらえなしでそのまま丸ごとホイル焼きにしても、短時間(20〜30分程度)で美味しく仕上がります。
皮ごと食べられるのも新じゃがの魅力です。
ただし、新じゃがでも握りこぶしに近いような中サイズ以上になる場合や、他の料理(煮込みなど)と火が通るタイミングをきっちり合わせたい場合は、レンジで短時間(目安1〜2分程度)加熱して下ごしらえしておくと、より調理がスムーズになり安心です。
Q. カットしたじゃがいもを水にさらしすぎるとどうなりますか?
A. 変色防止のために水にさらすのは非常に有効な手段ですが、長時間(30分以上など)さらしすぎるのはおすすめできません。
じゃがいもには、ビタミンCなどの水溶性の栄養素が含まれています。
長時間水に浸すことで、これらの大切な栄養素が水に溶け出してしまいます。
また、同時にじゃがいも本来の風味も落ちてしまう原因にもなります。
変色防止が目的であれば、5分から10分程度、長くても15分以内に留めておくのがベストです。
酢水や塩水を使う場合も同様で、短時間で効果が得られます。

