ゲレンデで見かけるスノーボーダーの服装。なぜあんなにダボダボなのでしょうか?
スキーウェアとはまったく違うシルエットに「動きにくくないの?」「あれはダサいの?」と疑問に思うかもしれません。
「スノボウェアがダボダボなのはなぜか」
そのスタイルには、単なる流行ではない「安全性を高める機能的な理由」と、スノーボードが持つ「文化的な背景」という2つの明確な訳が存在します。
この記事では、その深い理由から、スキーウェアとの決定的な違い、そして「ダサ見え」を回避する現代のトレンドと選び方までを徹底的に解説します。
- ウェアがダボダボな「機能」と「文化」2つの理由
- スノボとスキーウェアの決定的な違い
- ダボダボはダサい?現代のトレンドと着こなし術
- 初心者が失敗しないウェアの選び方
この記事を読めば、ダボダボスタイルの理由に納得し、自信を持って自分に最適な一着を選べるようになりますよ。
スノボウェアがダボダボなのはなぜ?2つの理由とダサ見え回避術

スノボウェアがダボダボなのには明確な訳がある
スノーボードのウェアがなぜダボダボなのか その答えは「機能的な必然性」と「文化的なスタイル」という2つの側面にあります
この記事では その深い理由から 現代のおしゃれな着こなし術までを徹底的に解説します
理由1【機能性】安全と動作を追求した必然の形

スノーボードウェアのルーズなシルエットは 見た目以前に 安全性とパフォーマンスを最大化するための合理的な「機能」の表れです
スキーウェアとの決定的な違い
まず スノーボードウェアとスキーウェアは 設計思想が根本的に異なります
スキーウェアは 基本的にスピードを追求し 滑走中の空気抵抗を減らすことを重視します
そのため 体にフィットするタイトなシルエットで 丈も短めに設計される傾向があるのです
対照的に スノーボードウェアは「動作の自由度(可動域の確保)」や「プロテクターの収納」 そして「転倒時の保護」を最優先事項としています
スノーボードは スキーよりも「必ず転ぶ」こと そしてリフトの乗り降りや休憩で「雪上に頻繁に座る」ことが前提のスポーツであるといえます
「スピードと効率」のスキーと「動作の自由と保護」のスノーボード
この根本的な設計思想の違いが 両者のシルエットを決定づける最大の要因です
スキーウェアでスノボはできる?兼用は非推奨
結論からいうと スキーウェアでのスノーボードは推奨されません
スキーウェアの多くは スノーボードで多発する「お尻からの転倒」や「雪上への着座」を想定していません
そのため お尻部分の防水性や耐久性が不足しているケースがほとんどです
また 転んだ際に雪がウェア内に入り込むのを防ぐ「パウダーガード(スノースカート)」が装備されていないモデルも多くあります
さらに タイトなシルエットが スノーボード特有の体をひねる動作を妨げ 非常に動きにくく感じるでしょう
安全面と快適性の両方から 兼用は避けるのが賢明です
プロテクター装着という絶対条件
スノーボードは 転倒時の衝撃を緩和するため ヒッププロテクターやニーパッド(膝) 脊椎パッドなどを装着することが強く推奨されます
特に初心者のうちは 逆エッジなどで予期せぬ転び方をすることが多いです
ダボダボに見えるウェアの空間の多くは これらプロテクターを着込むための「必要なマージン(余裕)」なのです
実際に ウェア自体がプロテクターの装着を前提とした「ゆとり」を織り込んで設計されている製品も多くあります
安全に楽しむためにも この空間は非常に重要になります
【データ】公的機関が示すスノボのリスク
プロテクターの必要性は 客観的なデータによっても裏付けられています
消費者庁の報告(全国スキー安全対策協議会) によれば スノーボードでの負傷はスキーと比較して「骨折」の割合が非常に高いという結果が出ています
特に「頭部」の受傷率はスキーの約2倍にも達しており 転倒時の衝撃の大きさがわかります
こうしたリスクを踏まえ 日本スノーボード協会(JSBA)も安全のためにヘルメットやプロテクターの着用を推奨 しています
安全装備をしっかり着込むためにも ウェアにはゆとりが必要不可欠であるといえます
激しい動きを妨げない可動域の確保
スノーボードの動作は 体を横に向け 全身を使ってボードをコントロールします
特に 体を大きくひねったり 深くしゃがみ込んだり(ボードを掴む「グラブ」動作など) 空中で回転したりと 可動域の大きな動作が多発します
もしスキーウェアのようなタイトなウェアでは これらの動作の際に生地が突っ張り パフォーマンスが著しく制限されてしまうでしょう
特にプロテクターを装着した状態では その突っ張りはさらに強くなります
ルーズなシルエットは スノーボード特有のダイナミックな動きを スタイリッシュかつ安全に実行するために不可欠な「機能的なユニフォーム」なのです
理由2【文化】ストリートカルチャーから生まれたスタイル

機能面で生まれたルーズなシルエットが「格好良い」スタイルとして定着した背景には スノーボード特有の文化的なルーツがあります
90年代ストリートカルチャーの影響
1990年代から2000年代初頭にかけ スノーボードは新しい世代のスポーツとして爆発的に普及しました
その際 スケートボードやヒップホップ サーフィンといった既存のストリートカルチャーやカウンターカルチャーと密接に結びつきながら発展した経緯があります
特にスケートボードカルチャーでは 動きやすさ(機能)と自己表現(スタイル)のために ルーズなTシャツやバギーパンツが好まれていました
この「機能的な要求」と 背景にある「文化的な好み(ストリートスタイル)」が スノーボードにおいて完全に一致したのです
結果として「ダボダボ」なスタイルは スノーボードの自由な精神性を象徴する「格好良い」スタイルとして確立されました
国母選手の服装はなぜ問題になったのか
2010年のバンクーバー五輪で 国母和宏選手(当時)の服装が大きな注目を集めました
いわゆる「腰パン」と呼ばれる着こなしが TPOにふさわしくないと議論になったのです
これは まさにスノーボードが持つストリートカルチャーの側面と 一般社会の認識との間にあったギャップが表面化した出来事でした
あの着こなしは 当時のスノーボードカルチャーのスタイルとしてはごく自然なものであり ルーツを体現したものであったと考えられます
この出来事は スノーボードのスタイルが単なる機能性だけでなく 強い文化的背景を持っていることを社会に広く知らせるきっかけにもなったといえるでしょう
スノボウェアのダボダボはダサい?現代のトレンドとおしゃれな着こなし

「ダボダボ=ダサい」というのは もはや過去の認識かもしれません
現代のトレンドを理解し 正しいサイズ感を選べば 最もスタイリッシュな着こなしが可能です
現代の主流は「オーバーサイズ」
機能性を追求した「ルーズフィット」とは別に 近年のファッショントレンドとして 意図的に大きなサイズを選ぶ「オーバーサイズ」が主流になっています
これはゲレンデでも同様で まるでストリートファッションのような感覚で ウェアを大きく着こなすスタイルが人気を集めています
【トレンド】ビブパンツ(オーバーオール)が大流行
現在のトレンドを最も象徴するアイテムが「ビブパンツ」(胸当て付きのオーバーオール型パンツ)です
ビブパンツは その構造上 サスペンダーで吊るすため 腰回りがルーズなシルエットになります
この見た目が 現代の「オーバーサイズ」というファッショントレンドと見事に融合しました
さらに ビブ(胸当て)があることで 激しく転倒しても腰から雪が侵入することがありません
「最高の雪の侵入防止機能」と「トレンドのルーズなシルエット」を両立できるアイテムとして 多くのスノーボーダーから絶大な支持を集めているのです
ダサ見えを回避する着こなし術
ダボダボのウェアが「ダサ見え」してしまう最大の原因は「サイズ感のミスマッチ」か「清潔感の欠如」です
単に大きすぎるサイズを選ぶのではなく 自分の体格や目指すスタイルに合わせて「意図したルーズさ」を演出することが重要です
ジャケットの丈とパンツの太さのバランスを考えるだけでも印象は大きく変わります
また ウェアの小物合わせも重要です
例えば スノボでサングラスはダサい と思われがちですが 天候やスタイルに合わせて正しく選べば ゴーグルにはない軽快さやスタイリッシュさを演出できます
全体のバランスを意識することが ダサ見えを回避する鍵となります。

レディースウェアのダボダボも基本は同じ
レディースウェアを選ぶ際も ダボダボの理由はメンズと共通しています
防寒対策として中に着込む必要があり 体にぴったり合うサイズだと滑る際に非常に動きにくく感じるためです
そのため レディースウェアにおいても ダボッとした大きめのシルエットが人気を集めています
普段の服よりも大きめを選び「ゆったりシルエットでちょうどいいサイズ」と認識するのが一般的です
初心者向け!失敗しないウェアの選び方

スタイルや流行も大切ですが 特に初心者の方は 安全に楽しむための「機能」を最優先することが最も重要です
最重要は「耐水圧」と「透湿性」
ウェア選びで絶対に確認すべきスペックが「耐水圧」と「透湿性」です
耐水圧は ウェアに水が染み込むのを防ぐ機能です
雪上に座ったり 転倒したりすることが多いスノーボードでは この数値が低いとお尻や膝から水が染み込み 非常に不快です
一般的な目安として 最低でも「耐水圧10,000mm以上」のスペックが必須とされています
透湿性は 体の汗や水蒸気を外へ逃し ウェア内のムレを防ぐ機能です
これが低いと 汗冷えの原因になります
こちらも「透湿性5,000g以上」が望ましい数値です
ただし これらはあくまで一般的な目安です
より快適性を求めるなら さらに高い数値のものを選ぶと良いでしょう
正確なスペックや機能については 各メーカーの公式サイトなどで確認することをおすすめします
失敗しないサイズ感の選び方
ウェアのサイズを選ぶ際は 必ずプロテクターやインナー(フリースなど)を着込むことを想定してください
可能であれば 実際にインナーやプロテクターを持参して試着するのがベストです
もし通販などで購入する場合は ブランドごとのサイズ感の違いに注意が必要です
ボルコムのスノーボードウェア!失敗しないサイズ感の正解を解説 のような専門記事を参考に 自分の体格や好みのスタイルに合ったブランドやサイズを見極めることが失敗しないコツです。

ウェアはどこで買うのがお得?
スノーボードのウェアは高価なものが多いですが 工夫次第で費用を抑えることが可能です
最新モデルにこだわらなければ 型落ち品や中古品を扱う専門店 で探すと 大幅に安く購入できることがあります
また 最近はデザイン性の高いレンタルウェアも増えています
まずはレンタルでいくつか試してみて 自分の好みのスタイルを見つけてから購入するのも一つの賢い方法です。

まとめ|スノボウェアがダボダボなのはなぜか

スノーボードウェアがダボダボなのはなぜか その答えは 単なる流行ではなく 安全性を高める「機能」と 自己表現としての「文化」が融合した 合理的な結果でした
- 機能的理由:プロテクターや重ね着の空間を確保し 激しい動きを妨げないため
- 文化的理由:スケートボードなど ストリートカルチャーのスタイルを受け継いでいるため
現代では そのルーズなシルエットが「オーバーサイズ」というファッショントレンドとも結びつき ビブパンツのような新しいスタイルも生み出しています
「ダサい」どころか トレンドの最先端ともいえます
これからウェアを選ぶ方は まず耐水圧などの「機能性」をしっかり確保した上で 自分の目指すスタイルに合った「正しいサイズ感」を選びましょう
この記事が あなたのウェア選びの参考になれば幸いです
スノーボードウェアに関するFAQ

スノーボードウェアに関して よく寄せられる質問にお答えします
Q1:結局 スキーウェアとスノボウェアは兼用できますか?
A1:快適性や安全性の観点から 兼用は推奨しません
スノーボードは雪上に座る動作が多いため お尻部分の防水性や耐久性がスキーウェアでは不十分な場合が多いです
また 転倒時に雪が入り込むのを防ぐパウダーガードも スノボウェアには必須の機能といえます
Q2:ウェアの洗濯やメンテナンスはどうすれば良いですか?
A2:まず ウェアの内側にある洗濯表示を必ず確認してください
多くの場合 専用の洗剤を使い 手洗いや洗濯機のデリケートコースで洗うことが推奨されます
洗濯後は風通しの良い日陰でしっかり乾かし 仕上げに市販の撥水スプレーをかけることで 防水性能を長持ちさせることが可能です
Q3:ダボダボのウェアでもリフトに引っかかる心配はありませんか?
A3:過度に大きすぎるサイズを選んだり 裾を引きずったりしていると リフト乗降時に引っかかるリスクは高まります
ルーズなシルエットでも 裾のドローコードを締める パスケースを適切な位置につけるなど 装備がぶら下がらないよう管理することが大切です
正しいサイズ感と着こなしをしていれば 過度に心配する必要はありません

